本稿では、ライトニングトーク(LT)が好きで回数を重ねるうちに「LT王子」と呼ばれるようになった(にっきー)1が、LTのコツと考えることをお伝えします2。
- LTを始める上での考え方
- 具体的なtips
エンジニア界隈では(あるいは他の界隈でも)、アウトプットの重要性は頻繁に説かれます。 「インプットだけと偏ってはいけない」「アウトプットのためにインプットする」という言葉を私も頻繁に耳にしてきました。
一口にアウトプットと言っても、形態はいくつもあります。
- 執筆
- ブログ
- 技術同人誌
- 登壇
- LT
- 講演
- ソースコードを公開
ここで取り上げるLTは、アウトプット先の1つにすぎません。 私の意見として、達成したいことはアウトプットですから、自分に合うアウトプット先を見つけてアウトプットを習慣化していくのがオススメです。
LTというアウトプットの特徴は「(1)決めた期日に、(2)短時間のプレゼンテーションをする」ことだと思います。
(1)の「期日」はLT以外の登壇や執筆にもある要素です。 LTでは、エントリして自分で期日を決め、発表を準備し、当日に発表します。
(2)の「プレゼンテーション」はLT以外の登壇にも当てはまります。 発表者と聴衆で時間を共有します。 LTという語は短時間の 稲妻トーク を意味しており、私はライブ感を大きな特徴と考えています。
LTはライブ感があるので発表者の感情を載せやすいです。 例えば
- プログラミング中にハマったこの課題、こうやったら解決できました
- このライブラリがとっても便利なので、ぜひ知って!試して!
といったネタは感情を載せやすく、LT向きと考えます(私は聞きたい!)
過去の私にもあったように、誰しも初めてのLTがあります。 LTの一歩目としてオススメなのが、過去の自分に向けたLTです。
ブログを書くというアウトプットでは、自分の備忘録として書くことが勧められます。 未来の自分が読んで役に立ったら、他に誰も読まなかったとしても(※そんなことは決してないのですが3)備忘録という目的は果たせています。 LTでもこれができると思いますし、私の初期のLTはそうでした。
自分の備忘録としてのブログのように、過去の自分に向けたプレゼンテーションとしてのLT。 私の体験が元ですが、LTにはブログよりも感情を込めやすいです。 例えば、ハマった課題の解決というネタであれば、LTだと「ここがわからなくてお手上げだった」「でも解決のきっかけはちょっとしたこと!」と気持ちを込めて語れます。
LTにはプレゼンテーションという要素があり、LT会で発表するとプレゼンテーションとして完成度の高いLTを目の当たりにすることもあります。 過去の自分に向けたLTでは、プレゼンテーションの完成度は最初は追い求めなくてもよいと考えます。 LTするだけで、備忘録としてのアウトプットという目的は達成できているのです!
プレゼンがいまはうまくできていないと感じても大丈夫です。 これからのLTでできるようになればいいんです! 経験者のLTでうまいなと思った要素は真似していきましょう。
- スライド作成
- とにかく練習しましょう!
(1) スライドを作り始める前に、話したいことを洗い出してストーリーとして組み立てることをやっています。 どういう順番で伝えるかということをまず考え、それが終わったら単純作業としてスライドを作っていきます。 なお、スライドから作る方もいらっしゃるので、自分にしっくり来る方法を採用していただいてかまいません。
(2) 当日より前にスライド作成を終え、発表の練習をするようにしています。 練習を元にスライドを直していくので、完成度80%くらいになったら練習を始めます。
練習では聴衆がいない環境でスライドを元に発表するわけですが、その際にボイスメモ系のアプリで録音します。 録音することでLTの時間制限に対して余裕があるかないかを事前に知れます。 また、スキマ時間や当日の移動時間で録音を聞き、発表本番に向けて仕上げていきます。
発表中は楽しく話すのがオススメです4。 発表を楽しみましょう。 楽しんでいる様子が聴衆に伝わって、発表内容にも興味を持ってもらえるものです。
楽しんで話し続けられるよう、発表スライドに自分の気分を上げる工夫もします。 私の場合はemojiです。 1スライドに1つは忍ばせておいて、emojiで色づいたスライドを見ながら楽しく、ときに熱を込めて話しています。 好きなテイストのイラストを散りばめたり、スライドのデザインにこだわったりと自分の楽しみを忍ばせてみてください
- (オプショナル)スライドの公開にこだわる
- 反論より専念
(1) この点は完全に私のハッカー趣味なのですが、スライドの公開まわりの技術にこだわっています。 スライドはReveal.jsで作り、GitHub Pagesで公開しています5。 LTする中でこういったツールの知見が溜まっていくのが楽しくてやっています。
このやり方をオススメするわけではなく、Speaker Deck6やドクセル7といったサービスもとてもよいものだと思います
(2) 発表することでフィードバックをいただけます。 それは新たな学びにつながりとてもありがたいものですが、レアケースとして心無い言葉と出会ってしまうかもしれません。
フィードバックを採用するかはあなた自身にあります。すべての声と向き合わなければならないわけではありません。 『エンジニアの知的生産術』の西尾さんは「反論するより専念」という言葉を残しています8。 あなたの発表の価値を認めてくれる方々を大切にしてよいのです。
以上です。どこかのLT会でご一緒する機会があったら、それはもうたまらなく嬉しいです。よいLTライフ(また、アウトプットライフ)を!
Footnotes
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みんなのPython勉強会 https://startpython.connpass.com/ で呼ばれています。よろしければLTしにお越しください! ↩
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2023年9月の「LTのコツ」大披露会での発表がベースになっています。https://nikkie-ftnext.hatenablog.com/entry/talk-at-engineers-lt-lt-tips-lt ↩
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受け売りですが、Webに公開してあれば必ず誰かの役に立ちます。コード片やドキュメントを切り出した短い記事が見つかって助けられた経験が私にはあります ↩
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発表中の私のスローガンは「 大好きを叫ぶ 」です ↩
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https://nikkie-ftnext.hatenablog.com/entry/sphinx-revealjs-publish-on-github-pages ↩